目には目を、ハニワハオ。

皆様は金縛りと言うものを体験したことがおありでしょうか?僕はあります。いや、金縛りかどうかは分かりませんが、今さっきなりました。寝かけているときに意識だけ起きると起こる現象なのではと、勝手な考察をしています。

その意識も、薄らぼんやりで、でも割とクリアで、なんにせよ意識があるのに体が動かせない。と、いうのは不気味なものです。逆植物人間と、でも言いましょうか。逆植物物語と、でも言いましょうか。なんとも不気味な存在でした。

さて、これで終わるのも味気ないので段々寒くなってきた寒さを増徴させるかのような怪談をこないだ聞いたので、それでも一つ話して今日は終わります。

A君とB君は廃病院まで肝試しに行きました。
心霊スポットとして、少し名の知れた病院です。
山の麓にある、車の通りも少ない大道を少し横に逸れたところの、うっそうと生い茂る木々の中にその病院はありました。
まるで、その病院を取り囲むように木々は生い茂っていました。
彼らは、その廃病院の近くに駐車をし、懐中電灯を持ってその病院までやってきました。
「なんかスゲーなぁ…」
どちらとも無くそう呟くほど、その病院には何かありそうな、そんな雰囲気がありました。
ひび割れたカベ、雨風に曝されて汚れたガラス、至るところにツタが絡んでおり、その雰囲気を増徴させておりました。
「俺…、やっぱり止めとく」
そう言い出したのはA君でした。
彼は実は人一倍小心者で、B君に付き合わされていたのでした。
「おまえ…、ここまで来てそりゃないぜ」
その後、少し口論になりかけましたが、結局断固として行かないと主張するA君にB君は呆れ、
「じゃあ、お前は車で待ってろ。俺一人で行ってくる」
と、ココまで来た手前、引き返すのは馬鹿らしいとB君は一人で廃病院へと入っていったのでした。
入り口は完全に扉が閉まっており、窓からの侵入を試みたB君は、まず空いてる窓を探し始めました。
それは案外スグに見つかりました。
明らかに何者かによって割られた窓。
そこからB君は侵入しました。
廃病院内は外観と、同じようにカナリ荒れていました。
靴や、虫の死骸、砂ぼこりなどが散乱していたり、カベも至るところが、外観と同じくひび割れていました。
外壁があるのにも関わらず何故こんなに荒れているのか少しだけ疑問に思いながらも、どんどんと奥へと進むB君。
ふと、途中考えました。
あの窓ガラスを割ったのは一体何者なのだろうか?
B君はこの廃病院が心霊スポットなだけに、どこかの不良が肝試しの際に割ったものと思っていましたが、よくよく考えるとそれは有りえません。
なぜなら、その窓ガラスは、内側から外側に向けて割られたものだったからです。
B君は不気味に思いつつもさらに奥へと進んでいきました。
しばらく行くと薄暗い壁に黒いスプレーで文字が書かれていました。

それは右に向けた矢印でした。それが書かれていたのは丁度、廊下の突き当たりで道が二手に分かれるところでした。
右に行けってことか…?
B君は不審に思いながら、右へと進みました。
しばらく進むとまた矢印が有り、

と、書かれていました。
先ほどの例に倣ってまたB君は書かれたとおりに進みました。





矢印に書かれたとおりに進んでいく。
B君は小学校のときにやったレクリエーションのような感覚になっていました。
気がつけばB君は3階まで来ていました。
そして、しばらく進んだところでまた、文字を発見しました。
ここだけは、それまでの所と勝手が違いました。
文字が書かれていたのは、窓ガラスだったからです。
そして、さらに、こうこう添えられていました。

下を見ろ。首がある。

B君はそこでなんだか恐ろしくなり、結局下は見ずに一目散に逃げ出しました。
来た道を進んで、入ってきた窓ガラスから廃病院を飛び出して、木々を突っ切って、A君の待つ車へと戻ってきました。
慌てて車に入り、助手席でホッとして、A君に話しかけました。
「あー、焦った。スゲー怖かった」
「……」
A君から返事はありません。
どうしたのだろう?と、A君の方に目を向けて、B君はギョッとしました。

なぜなら、A君には、首から上が無かったのですから。

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終わりです。普通に怪談です。おもしろいオチを期待した人スミマセン。
とりあえずバイトに遅刻しそうなので今から猛ダッシュします。
では、ごきげんよう。