地獄を超えた大地獄

良かれと思って言ったことがきっかけで実は一番傷ついたってこと、ありますよね。

ボク、小学校5年生から6年生までずっと野球やってたんですけど、別に野球好きな訳じゃ全くなく、なんとなく親に行かされてた感が今となっては有りますが、本当に野球部総勢11〜12人くらいしかいない中で見事に補欠でした。
まあ、別に野球好きとか、なんの想いもない中で行っていたらそうなりますよね。

それでも2年間は、それなりにやってたんですけど、試合に出られないことに特になんの疑問も持たずにいました。
そもそもあんまり試合に出たいとも思ってなかったかもしれません。

覚えているのは、野球のダイヤって言うんですかね。各ベースを走って回る練習してて、夕方ごろになるとなぜか塁の上空に小さい虫がめちゃくちゃうごめいてて、走って通り過ぎるとそれを顔面で受け止めないといけないと言う地獄が待っていました。
こいつら、特殊迷彩でも覆っているのか、顔面で受け止め切る直前にならないとその存在を確認出来ないんですよね。
もはや、急ブレーキをかけても止まらない距離でないと分からないと言うか。
そんなわけで大口を開けて走っていようものならもう大変です。
地獄を超えた大地獄です。
奴らのことを、ボクらはアタマ虫と呼びつけていました。
なぜそんなネーミングだったのか今となっては訳がわかりませんが、アタマに卵を産み付けるからなのかな。と当時は思っていました。
今思うと戦慄が走るネーミングですよね。絶対にお近づきになりたくない虫です。
実際はマユリカ、と言う種類の蚊だったと言うことが最近になって明らかになりました。
時を経て、埋められるパズルのピースのようで、まだまだ俺だって成長途中なんですよね。

いやいや。
なんの話をしとるんや。

まあそれなりに練習もやってましたが、練習中になんかグランドの隅っこの蟻の巣にジョウロで水を突っ込んで遊んでたような記憶も有ります。
地獄ですよね。
蟻からしたら。
蟻地獄どころか大地獄です。
そんなことやっとったらそら補欠にもなりますわな。

そんなわけでやってきた小学生としての最後の試合。
それぞれの親も来ているようでしたが、いつものごとく、ボクは補欠でベンチを温めていました。
例にもれず、ボクの親も来ていました。
基本的にボクのチームは弱く、ほとんど勝つことはありませんでした。
ボクは別に補欠でいいと思いつつも、せっかくシャトルバス的な奴に乗ってまで、遠くまでわざわざ来てるんだから勝ってもらった方が面白いのになとも思っていました。
メンバーの一員と言うよりは応援に来てる的な感覚の方が大きかったかもしれません。
ボクは心の中で叫びました。
勝てーー!頑張れーーー!!!

もちろん一言も声に出してはいませんでした。
俺の心の声よ、メンバーの心に届け!!
そう思って心の中で叫び続けました。

と言うと過言でありますが、それなりに応援はしていました。

しかし、見事敗退と言う結果に終わりました。
ガッカリと帰ってくるメンバーたちにボクは
まあ仕方ない。切り替えていこ!
と、心の中で思いました。

しかし、ボクも小学生で実際出れずに来てるんだから「勝ってくれないと面白くないわ」と心の中で思ってなかったといえば嘘になります。
むしろ、心の中どころか、口に出して言っていたのでした。

「せっかく来てるんやから、勝ってくれないと面白くないわ」

今思えば、なかなかの空気読んでない発言です。
一生懸命練習してきて負けて帰ってきたメンバーに第一声目で返すことじゃないですよね。
案の定、メンバーの1人がイラっとしたのか、

「そんなん補欠に言われたくないわ」

と返してきました。

ボクは黙り、まあそれもそうか。と、普通に納得して、さぁ帰ろうとばかりにバスに乗り込もうとしたら、
付き添いにきていたボクの親が
「あ、その言い方はヒドいんちゃう?」
と入ってきました。

それで相手は黙ったのですが、自分としては、それまで何も思ってなかったのですが、あれ、俺ひどいこと言われたん?と言う想いと、
付き添いに来ていた親に何一ついいところを見せていないと言う現実に直面し、なんか情けなくなって涙が溢れてしまいました。

するとそのメンバーの1人が慌てて「ごめん、言いすぎた」と謝ってきて、その場は収まりました。

親の言ったことはもっともな一言なんですけど、もともと売り言葉を発したのはボクで、相手は買い言葉で返してきたのを分かっていて、ボクとしても別にそれはそうだ。と納得していたものを、覆すきっかけになる一言だったんですよね。

しかし、これは誰が悪いわけでもないですね。と言うか、はじめにいらんこと言ったボクなんですけどね。悪いのは。

多感な時期に直面した事態でありました。
今もなんとなく記憶に残り続けていますが、今となってはいい思い出です。

では、今日はこの辺で。
終わりでーーす!

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