ピュアぞー

さて、昨日の続きです。

それは僕が一人暮らしライフ始めて3週間経ったくらいで

やっと落ち着き始めた頃のことでした。

やべー、今日もバイトや。

そろそろ準備して出ようかな。

そんな風に思っていた昼下がり。

コンコン。

と、ノックの音が聞こえました。

このマンション、インターホンがないので

客人が来た時はノックで呼び出される仕様となっているのです。

なんだい、こんな時間に藪からボーに。

そんなことを思いながらガチャリとドアを開けたのでした。

するとそこに立っていたのはデカ眼鏡で前髪が長めな

冴えないおじさんでした。

なんだこの人。

僕はとっさに不信感を表しました。

「あっ、NHKのものですが」

エヌエッチケー…?

なんだそれ食えんのか。

とはもちろん思いませんでした。

もちろん知っています。

幼き頃はよく忍たま乱太郎見てましたからね。

紅白歌合戦も割と見ていました。

そんなNHKがこの俺に何の用だ。

とは別に思いませんでした。

聞いたことがあったからです。

一人暮らしを始めた部屋には

NHKが受信料を徴収しにくる。

と。

しかし、僕は慌てず騒がずでした。

何故ならばこの部屋にはテレビがなかったからです。

テレビがないなら受信も出来ない。

受信してないなら受信料を払ういわれは発生しません。

おかえりください。

僕は心の中でそう念じました。

NHKの集金人はこう言いました。

「NHKの受信料の手続きをお願いします」

ほら来た。

僕はすかさず答えました。

「ああ、この部屋テレビないんですよ。すみませんねー」

お引き取りください。

まさにそう言わんがばかりのドヤ顔をしていたに違いありません。

しかし集金人は食い下がりました。

「携帯電話って持たれています?」

はて、なんじゃ。

携帯電話に何の用じゃ。

と思いながら僕は

「え、ああ持ってますよ」

と答えました。

「ちょっと拝見させていただいてよろしいですか?」

そんな訳で僕は携帯電話を集金人に見せたのです。

「これ…ワンセグ携帯ですね」

ワンセグ携帯とは!?

携帯電話でテレビが見れる機能を搭載した、

昔懐かしガラケーの特殊機能なのでアール。

「え、ああそうですかね。その機能を使ったことないですけど」

そう、当時の僕は部屋にテレビがないのを証拠に

全然テレビを見ていなかったのです。

しかし集金人はこう言いました。

「使っていなくても、ワンセグ携帯はNHKを見ることが出来ますので受信環境があるということになります」

「はあ..」

「受信環境があるということは支払い義務があるんです」

「ええ!?」

これはやられた。

僕はそう思いました。

「そんなこと言われましても。。。見てないのでね」

「見てる見てないは関係ないのです。受信環境があれば支払い義務があると法律で決められているです」

正義は我にあり。

敵は本能寺にあり。

まるでそう言わんがばかりの眼光で詰め寄られました。

これは部が悪いと言ってよいでしょう。

たまらず僕は

「すみません、ちょっと急いでいるのでまた今度にしてもらっていいですか?」

問題を先延ばしにかかりました。

全く想定していなかった状況なため

ここで支払いを渋った場合や、なんとか支払わずにすむ方法などを

自分で調べる時間を作りたいと思ったからです。

「いえいえ、すぐにすみますから。5分!5分だけお願いします。」

先さきと話を進めてゆく集金人。

「銀行のキャッシュカードはお持ちですか?」

僕もここで持っていないと嘘をつけばよかったのですが

ピュア中のピュア。

ピュアぞーの名前を欲しいがママにしているこの私。

「持ってますけど」

と答えてしまいました。

そこからは雪崩式です。

キャッシュカードを渡すと、謎の装置にそれをピッと入力し、

「これで完了です。2ヶ月に一度1500円受信料が引き落とされますので」

集金人はそう言い放ち、

「では。」

と言ってドアを閉めて行ってしまいました。

僕はもはや放心状態。

ぼーっとした目でワンゼグ携帯を眺めていたのでした。

以上。

いたのでした。

(続く)

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