うどんとニラレバ。

2年ほど前から右首の皮膚下にしこりのようなものが出来ていまして
そうですね、パチンコ玉小くらいの大きさです。
触るとコリコリする感じで、見た感じには赤く腫れたりするわけでもなく
プクッと皮膚が盛り上がっていました。

なんじゃこりゃっと思っていましたが、特に痛みなどないので
放っておいていたのです。

それが今月に入って少しずつ大きくなって赤みを帯び、
痛み、かゆみを伴うようになってゆきました。

痛み、かゆみ、恨み辛み。そして、嫉み(そねみ)。

だから、僕に子供が出来て、しかも3姉妹だった際には
名前をうらみ、つらみ、そねみにしようと思ったのです。
気持ち的にはポッキー3姉妹的な立ち位置です。

ですが、そうこうしているうちに赤みは増し、
まるで赤センマイのように赤くなっていったのです。

「グレート!こいつはヘビーだぜ。」

僕はそう呟いて、この症状が一体なんなのか。
一体どうしちまったのか、気になって夜は栗ようかんな日々を過ごしました。
そして、今は検索ツールという便利なものがある、
ということに気付いたのです。

「まったく、いい時代になったものだ」

僕は携帯で検索を開始しました。
いわゆるググる、という行為です。
「首、しこり、出来物」なんてワードで検索をかけると
出てくる出てくる、たくさんの情報たちが。

そのほとんどが「首にしこりが出来たら危険!」みたいなことが
書いてあって、いわゆるリンパ腺に出来た腫瘍で、
それが悪性だったら不味い的なことが書いてました。
つまり癌です。

しこりが何年もあって、急に大きくなったら危険!
なんて書いてあったりもして、僕は焦りました。
なぜなら、それは今の僕の状況ではないですか。

アレ、これ俺のこと言ってんじゃね?
などと思った時期もありました。
出会うのが遅すぎたねと、泣き出した夜もありました。

本格的に怖くなってきた僕は、
こいつは一度病院で検査してもらおう。
といよいよ決心したのです。

家の近くにある大きな病院へ、マイ自転車でひとっ飛び。

今まで大きな病気もなく、ぬくぬっく温室育ちで育ってきた僕には
あまり馴染みがないところですので右も左も分かりません。
人でごったがえすホールをグルリと見回すと
「診察相談所」みたいな受付があって、これは
おあつらえ向きってやつだな。と思いました。
まるで今の俺の為に用意されたようなものじゃないか。

受付の妙齢の女性の前にヌッと立った僕は話しかけました。

「すみません、首が腫れてるんですけどどうしたらいいですか?」

受付の女性は、神妙な面持ちで

「熱、だるさはありますか?」 と、聞いてきました。

「いえ、熱とかは無いんですけど・・・ずっとしこりみたいのがあって最近大きくなってきたんです。」

「というか、その赤い腫れですか?」

「そうです」

と、僕が言ったやいなや女性は神妙な面持ちを崩し、
「なら、すぐに診察する必要はないですね」と言いました。

「えっ?」
「もっとボコッと腫れると不味いやつなんですけど、それは大丈夫なヤツですwww」

まあ、なんということでしょう。
あんなにも神妙な面持ちだったのが、とてもフランクに。
リフォームの匠もびっくりに変わりっぷりです。

「でも、痛いんですけど・・・」
「痛いでしょうね。見たところ膿んでますからwww
診察するなら待ってもらわないといけませんが?
すぐに診察が必要な症状でもないですし」

重大なものでは無かったのは嬉しかったのですが、さてどうしたものか・・・。
被害者意識の強いワタクシには
まるで、そんなことで来んなよ。と言い出さんばかりの口ぶりに
聞こえてしまいます。

「ここで診察しない方がいいですか?」
「そうですね、お近くの開業医のところの方がいいんじゃないですか?」

そうか・・・僕はこの病院で見てもらうにはどうやら経験地が低かったようです。
首洗って出直してきます。

首だけにwwwwwwwwww!!!!

そうして僕は受付の女性に
「何から何まで世話になった。達者で暮らせよ」
と心の中で別れを告げ、愛馬(自転車)にまたがり
ふざけてるこの街をスピードで振り切ったのです。

~完~